AI駆動経営という言葉に出会う前、仕事でClaudeのProプランを契約していました。
企画書のたたき台を作るとき、上司への説明資料を整えるとき、ちょっとした壁打ちをしたいとき。そういう場面でちょこちょこ使っていました。便利だと思っていました。でも「AIを使いこなしている」という感覚はありませんでした。
今思えば、あれは「使いこなしている」のではなく、「使わされていた」だけでした。AIに聞く。AIが答える。自分がそれを読んで、判断して、動く。このサイクルを「AI活用」と呼んでいたわけです。でも本当の意味でAIを活用している人たちは、そこから先の世界にいました。そのことに気づいたのは、一枚のスライドがきっかけでした。
セミナーで知った、AI駆動経営の成熟度モデル
2026年5月、地元のセミナーに参加しました。テーマは「AIエージェント」と「AI駆動経営」。講師が最初に示したのが、AI活用の成熟度モデルでした。
- レベル1:調べ物(情報検索・翻訳)
- レベル2:定型業務(メール作成・議事録・定型作業の効率化)
- レベル3:壁打ち(戦略立案・意思決定の相談相手)
- レベル4:判断支援(データ分析に基づく妥当性評価・KPI管理)
- レベル5:自律実行ループ(調査から実行・改善まで、AIが自律的に動く)
スライドを見ながら、自分がどこにいるか確認しました。壁打ち、資料作成……レベル2〜3です。「使いこなしていると思っていた」のに、全体の中ではまだ入り口でした。周りを見回すと、同じような反応をしている参加者が何人もいました。おそらく会場にいた多くの人が、そこで初めて「自分はまだレベル2だった」と気づいたのだと思います。
McKinseyの調査によると、生成AIは世界のGDPを最大4.4兆ドル押し上げる可能性があるとされています。この波は、地方の経営者にも確実に届きます。
「動くAI」という発想がなかった
もう一つ、刺さった話がありました。従来のAIは「質問に答えるもの」でしたが、AIエージェントは「目標を与えると、タスクを自分で分解して実行するもの」です。講師はそれを「答えるAIから、動くAIへ」と表現しました。
たとえば、週次のKPI管理。年間目標と週報をAIに読み込ませて、進捗の差分分析・未達の原因分析・改善アクションの提案まで自動で出力させる。SNS投稿なら、記事URLを渡すだけで投稿文を生成して送信予約まで連携させる。受注データを渡すだけで売上予測と在庫提案まで出力させる、といったことも実現しているケースがあるといいます。
「そんなことができるのか」という驚きと、「それをやっている人がもういるのか」という焦りが同時にありました。自分がやっていたのは、あくまでAIに聞いて、自分が判断して、自分が動く。「AIが動く」という発想が根本的に欠けていました。セミナー後、自分でもAIエージェントを試しに組んでみました。非エンジニアでも、Claude Codeを使えばある程度は作れます。そのときの驚きは、また別の記事で書くつもりです。
徳島でAI駆動経営の話をしている人がいない
帰り道ずっと考えていました。この内容を、徳島の経営者に届けたい。
自分が知っている地元の取引先を思い浮かべると、AIの活用はまだ「ChatGPTで文章を直す程度」の話が多い。レベル1〜2の世界です。それ自体は悪くありませんが、レベル4・5の世界があることを知らないまま止まっている経営者が多そうでした。
知らないから使えない。使う場がないから、知らない。どちらにしても、情報が届いていません。東京では当たり前のように語られていることが、徳島ではまだ届いていない。この情報格差は、やがて経営格差になると思っています。東京と徳島のAI格差をデータで見た記事でも詳しく書いています。
ただ一方で、これは悲観すべき話ではないとも思っています。格差があるということは、先に動いた人が一人勝ちできる余地があるということです。東京でAI活用の情報発信を始めても埋没します。徳島で始めれば、先行者がほぼいません。
匿名でも発信できることにした
金融業界で働く人間として副業はできません。表に立って動くには制約があります。でも、情報を発信することはできます。
このブログは匿名で運営しています。AI駆動経営の概念、具体的な活用事例、自分が試してみたこと。そういう話を、徳島の経営者に届けるために書いていくつもりです。肩書きも名前も出せないぶん、内容で勝負するしかありません。それでいいと思っています。
いつか名前を出せる日が来るとしたら、それは独立してCAIO(Chief AI Officer)として動けるようになったときだと思っています。そのための準備を、このブログを書きながら続けていきます。まずは書けるだけ書く。それだけです。
次回は、AI活用の成熟度モデルをもう少し深掘りする予定です。